2016年5月26日~5月28日 吉川二郎スペインコンサートツアー 2016



トレドでのコンサートを終えて翌日、ミゲール夫妻の車とアルメリアに向かって出発。途中、ラ・マンチャのコンスエグラで風車の丘を見学。アルムラディエルの街道沿いのレストランで昼食。アルムラディエルAlmuradielは「ある村である」とも聞こえる。

昼食後、ミゲール夫妻は先を急ぐからと、一直線でアルメリアに向かって走り出した。昼食後ということもあり、河野さんは運転中に睡魔に襲われ、途中のパーキングエリアで小睡眠を促す。アルメリアに午後7時ごろ到着。トレドから約500kmの道のりであった。

527日、午前中に市内のギター博物館「アントニオ・デ・トーレス」を訪問。昨年はここでのコンサートのため、寄贈したビスニエト・デ・トーレスの展示を見る余裕がなかったので、今年は先に見ておこうと思った。大きなギターのように作られたアントニオ・デ・トーレスの部屋に、「今月の逸品」とタイトルがつけられて、アントニオ・デ・トーレスと並べて展示されている。ギターの横には私のCD「スペインの魅惑」のジャケットが置かれ、「日本のギタリストJIRO YOSHIKAWAの寄贈」と紹介されている。

ミゲールから電話があり、街に出ていてギター博物館の近くにいるというので合流。市役所の屋上テラスが開放されていて、町の眺めが素晴らしいとのことで案内してもらった。

午後1030分、ペーニャEL MORATOでのコンサートが開演。演奏に先立ち、オーナー代行でギタリストのアントニオ(El niño de la cueva)が挨拶。すでに舞台に上がるべくスタンバイをしていたが、話が長ぁ~い! 私の演奏活動や、ギター博物館に寄贈したこと、マヌエル・カーノのこと、アルメリアとの縁、等々。でも、本場のフラメンコの世界で高く評価してもらえることは有難いことだ。

いつものように3部構成で、独奏・ギタルパの演奏・ギター2重奏で、終演は午前1時近く。お客様との写真撮影・CD販売…など、なかなか終わらない。一人の女性が「ギタルパはどこで買えるのか? ギターを弾いていたが、肘を痛めて弾けないので、ギタルパに転向したい」とのことだった。この次に行くときには、ギタルパを運ばなければならなくなった。

夕食も食べていなかったので、着替えや片付けを済ませて打ち上げの始まり。午前3時を過ぎてホテルに帰り、心地よい睡眠に入った。

予定していた2つのコンサートを終え、翌日はアルメリア観光。ミゲール夫妻の車と2台で海岸を走り「フラミンゴの湖」「めのう岬(Cabo de Gata)」、もっと走って自然の海岸が素晴らしい「イスレタISLETA」まで到着。ミゲールが馴染みの展望レストランでおいしい海鮮の昼食をご馳走してくれた。

ミゲール夫妻と別れてアルメリアに戻る途中、ラ・カニャーダLa cañadaのビスニエト・デ・トーレスの家に立ち寄る。未亡人のフィーナがいるはずなのだが、呼び鈴を鳴らしても応答がない。しばらく待っていたが、あきらめて立ち去ろうとした瞬間、フィーナが帰ってきた。なんというタイミング!

懐かしいフランシスコの工房を、製作を手伝っていた長女のマリアホセが案内してくれ見学。ギタルパ製作にちょうどいいフランシスコ手製の治具を見つけ、おねだりすると、快く了承してくれた。さらに、ボキージャ(サウンドホール周りの飾り)の残りを見せてくれた時、「ジロー、ポケットに隠せ」と言う。「ママには見せないで、秘密!」と言って、ビスニエト・デ・トーレスの貴重な思い出の部品を私にくれた。

(つづく)