月刊『ジロリート』とは、コンサートフラメンコギター協会が発行する「ふぁるせぇた」に寄生する世界初の刊内寄生紙です。

興味のある方は、ぜひ「ふぁるせぇた」をご購読ください。
春爛漫のスペインへ          2004年4月25日 発行

 5月10日に日本を出発しスペインへ行ってきます。今年は2月に行ったのですでに2回目になりますが、夏にホセ・マヌエル・カーノを招聘するための準備と、サラマンカで用意してもらっているコンサートに出演するためです。サラマンカはマドリードから西へ約230km、スペイン最古の大学であるサラマンカ大学があり、多くの日本人がここへスペイン語の勉強に来ています。私にとっては、初めてのサラマンカ訪問です。

 今回のコンサートはサラマンカ大学にある日西文化センターの「美智子皇后記念講堂」でのコンサートで、私の独奏と野口久子との2重奏で出演します。日本の歌などもプログラムに入れ、日本人独自のスタイルのコンサートフラメンコギターをアピールしたいと思っています。

 コンサートを終えて翌日、サラマンカから約700km離れたグラナダへ直行します。グラナダではホセ・マヌエル・カーノとの練習に精を出し、いったんアルメリアに移動してビスニエト・デ・トーレスことフランシスコ・サルバドールの主催で、「アントニオ・デ・トーレス館」でもコンサートを行ないます。ここは「ギターの父」といわれるアントニオ・デ・トーレスの住んでいた家を改修して博物館としたもので、小さなホールがあり、昨年もここでコンサートをしました。今年は2重奏も含めた私の新しい形の音楽を聞いてもらえることをとても楽しみにしています。

 今回の旅は、もともと「しずおか吉川二郎クラブ」の企画で、「吉川二郎の音楽の景色を求めて」という趣旨のツアーで出かける予定でしたが、マドリードでの列車爆破事件が影響してツアー客が集まらず、私の個人旅行となってしまいました。それにもかかわらず、結局、何人かの道連れができ、コンサートと私の音楽の原型となるスペインの情景を追いかける「ミニ・ツアー」となりました。

 迷路(コルドバ)、湧く泉(グラナダ山岳地帯)、石畳を歩いて(アルバイシン:グラナダ)、めのう岬(アルメリア)、アルハンブラ宮殿、アマポーラなどを追いかけます。初めての企画の旅行なのでどんな風になるか楽しみですが、現地でのコンサートは日本で聞いていただくより、きっと鮮烈な印象になると思います。

 今頃は、アマポーラの花も満開のはずで、足元から山の麓まで、一面の赤い絨毯が風に揺れる情景がまぶたに浮かびます。5月22日に帰国しますので、来月は春爛漫のスペイン報告をさせていただけることでしょう。

 透過光鮮やかなりし
 チューリップ


 木の芽摘み
 叩いて鼻に近づける


                                    一葦