月刊『ジロリート』とは、コンサートフラメンコギター協会が発行する「ふぁるせぇた」に寄生する世界初の刊内寄生紙です。

興味のある方は、ぜひ「ふぁるせぇた」をご購読ください。
スペイン・コンサート漫遊記(2)          2004年6月25日 発行

 グラナダに着いた翌日、ホセ・マヌエルは午前7時から午後3時半まで医者の勤務仕事があり、打ち合わせや練習などはできないので、O夫妻をアルハンブラ宮殿の見えるサン・ニコラスの展望所からアルバイシン地区、街に下りてカテドラルとお土産物屋街となっているアルカイセリーアを案内しました。一緒に昼食をとり、いったんホテルに戻ってから私と野口はホセ・マヌエルの家に向かいました。ホセ・マヌエルとは練習よりも、とりあえずコンサート関係の進行具合や開催場所など、具体的な打ち合わせに時間を費やした状態でした。

 その夕方、遅れて出発したJIRO富士ファンクラブのグループ5人を、河野さんがマドリードから連れて合流し、ホセ・マヌエル・カーノ夫妻も交えて皆で一緒に夕食を食べることになりました。ツアーの人たちとは初めての顔合わせです。魚介類アレルギーのあるホセ・マヌエルにとっては少し気の毒でしたが、豊富な経験から選ぶ河野さんの食事のメニューは、魅力的なものばかりです。今回の旅行の参加者に、スペインツアーでよく言われる油あたりが無かったのは河野さんのおかげだと思います。

 翌朝、第2のコンサート予定地、アルメリアに向かって出発です。河野さん運転のレンタカーは9人乗りで全員は乗れず、アルメリアからフランシスコ(ギター製作家のビスニエト・デ・トーレス)が夫婦でわざわざ応援に駆けつけてくれ、車2台で行くことに成りました。

 グラナダからアルメリアへは普通に高速道路を通って行けば1時間半くらいで到着できる距離です。今回の旅は私の音楽のルーツを求める旅で、「湧く泉」の元になっている、アルプハーラ地区を見る目的があります。シエラネバダの麓の小さな村を訪ねながら、山を縦断していきます。スペイン全国に出荷され、水のブランドとなっているアルプハーラでは比較的大きな町ランハロンLanjaron、観光スポットのパンパネイラPampaneiraを通過し、スペイン最高地点(海抜約1800m)にある村トレベレスTrevelezに到着、昼食にありついた時にはすでに4時を過ぎていました。

 遅い昼食を終えてアルメリアへ一直線…、とはいっても山道です。グラナダからアルメリアへアルプハーラ経由というのは、多分、大阪から岡山まで中国山地の山道を走っていくようなものでしょう。結局、アルメリアまで9時間かかり、到着した時には皆放心状態の模様。それでも夕食では再び盛り上がり、楽しくも厳しいアルプハーラ縦断の一日は終わりました。

 アルメリア2日目、今日の目的地は「めのう岬」です。河野号と朝から駆けつけてくれたフランシスコ号の2台が連なってホテルを出発、まずフランシスコの家に?? 皆に自分のギター工房を見せたかったようです。ギター作りの秘話や、特許物の自作の秘密器具もついでに披露、興味深々の話が続いてなかなか「めのう岬」には出発しません。今夜はコンサートがあるというのに…。

 昼食は海の見えるホテルの素敵なレストランで、皆大満足の昼食でした。「めのう岬」と「人差し指岩」を見てから、皆はホテルに戻り、私と野口はコンサートの準備にかかります。コンサート会場はアントニオ・デ・トーレス館。日曜日の夜ということもあって、フランシスコは聴衆の集まりを気にしています。(つづく)

 台風の中を飛行機で東京から帰る
  飛行機が揺れて沈黙夏至の風

 狭い道を我が物顔で走る嫌な奴
  草茂る川沿いの道高級車

                                                 一葦