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ホセ・マヌエルとフランシスコを迎えて      2004年9月25日 発行

 大型台風が近づく8月20日、私と野口久子は関西空港でホセ・マヌエルとフランシスコを迎えた。そのまま車で宝塚まで直行し、温泉のあるワシントンホテルに到着。部屋に入るや否や温泉に入ろうと二人を誘う。ホセ・マヌエルは以前に群馬県で温泉に入ったことがあり、その気持ちよさをよく知っている。フランシスコは今回が初来日なので、もちろん着いた早々温泉につかる事など思ってもいなかったことだろう。

 恥ずかしがるフランシスコに日本の風呂の入り方を説明しながら、無理やり温泉に引きずり込んだ。結果はその心地よさに、宝塚にいる間、何度も入ろうという始末だ。

 翌日、朝から静岡へ向かう。今回は私がテレビコマーシャルでお世話になっている「アイワ不動産」の藤井社長の計らいで8月20日に静岡銀行ユーフォニアという素晴らしいホールを使い、チケットの売上総額の半分を静岡の福祉関係に、残りの半分をスペインのマドリード爆弾テロの犠牲者への義援金として寄付されるというチャリティコンサートが企画されていた。

 前日にレセプションも用意され、2日間に渡ってお世話になったが、翌日午後には清里スペイン音楽祭でコンサートがあり、コンサート終了後は大急ぎで清里に向かわねばならなかった。静岡を出発したのが午後10時過ぎ、清里に到着したのは午前1時を過ぎていた。それでも夜更かしで有名な清里スペイン音楽祭である。着いたときにはまだまだみんなで賑やかに盛り上がっており、大歓迎を受けた。
箸の使い方に夢中! アルパの野中みさえさんと
 清里での2日間を過ごし、宝塚へ戻る途中の諏訪湖のサービスエリア、ホセ・マヌエルは馬刺しの入った「信濃路弁当」を、フランシスコは「いくら丼」を注文した。ホセは馬刺しが珍しいのでフランシスコにも分けて食べさせる。その後、フランシスコは牛肉や豚肉などを見るごとに、「これは馬か?」と問うことしきり。相当美味しかったらしい。日本人はそんなに頻繁に馬肉は食べないよと説明。約7時間かけて宝塚に到着、温泉に入る。

 翌日、8月23日は大阪で歓迎パーティー。ホテルから我が家に立ち寄り、近所の高級(!)回転寿司で昼食、二人とも日本食には何の抵抗もない。フランシスコは箸の使い方に苦労しているが、練習に励むと頑張って指にタコを作っている。さすがにホセは来日6回目で箸は使い慣れたものだ。

 夜、大阪のスペイン料理レストラン「カルボン」で歓迎会。すでにお店のご主人とは古い付き合いになった。パーティーではホセ・マヌエルや私と野口のギターのほかに、アルパの野中みさえさんも演奏に加わり、ホセ・マヌエルとの即興の2重奏も飛び出した。

 出席者は40人を超える満席状態であったが、十分に楽しんでもらったに違いない。    (つづく)

 夢に見た国で台風慣れぬ箸
飛行機から見えた富士山
 秋雲の下からそびえ富士の峰
                                                     一葦