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ホセ・マヌエルとフランシスコを迎えて(3) 2004年11月25日 発行

 8月27日、豊岡から次の会場である岸和田市へ直行。高速道路を乗り継いで約3時間で到着。会場は岸和田市の自泉会館という古いスペイン風建築物。音響と雰囲気はいいのだが空調が古く、真夏の暑い岸和田でもこれを使うわけにはいかない。窮余の策で扇風機を置き氷柱を立てる案が出た。扇風機も風の音がするが、これは周波数の関係だろうか、演奏の邪魔にはならないようだ。80人ぐらいという予定の人数をはるかに超えた約120人の聴衆で、熱気たっぷりで大変盛り上がったが、実際にステージで弾いている時、心地よい風が吹いてきて快適であった。

 岸和田を終えて翌日、翌々日の茨城のギター文化館にそなえて関東方面へ移動。横浜でお父さんのマヌエル・カーノ先生の時代からお世話になっているハマ音(横浜労音)のH氏夫妻・S女史に夕食をご馳走になり、楽しい時を過ごした。

 ギター文化館でのコンサートは、ホセ・マヌエル・カーノのリサイタルということで、プログラムもホセ・マヌエルの独奏中心で、最後に私が混じって新旧トーレスの弾き比べを行った。聴衆は音響のいいホールで、贅沢な試みに満足したに違いない。

 残る日々は東京での歓迎パーティーと日本土産のお買い物。今回は東京でコンサートができなかったのが残念であったが、私が手配してコンサートの主催までするというのは、もう限界であった。

 今年は2月と5月にスペインへ行き、8月にホセ・マヌエル・カーノとビスニエト・デ・トーレスを迎えて2週間生活をともにしたので、3度スペインへ行ったような気分になってしまう。スペインへ行ったら、スペイン語は自分の必要な分だけで済むが、日本では通訳しなければならないので大変だ。食事の時など、自分が食べる時間はほとんどなくなる。くたくたに疲れたこの2週間であったが、二人がとても喜んで帰ってくれたので世話をした甲斐もあった。

 ビスニエト・デ・トーレスは、こんどは奥さんを連れて戻ってきたいと何度も言っていた。多分、約束は近いうちに果たされるだろう。特に初めての日本だったので、何にでも興味を示し、食事はほとんど何でも美味しいといって食べてくれた。さすがに納豆だけは、もう堪忍してくれと言っていたが…。

 いま私は、秋のコンサートツアーの真最中で、先日関東方面を終えたばかりで、これから関西が始まる。12月には9回のコンサートがあり、まだ2度の関東行きが残っていてギター教室のレッスンも儘ならない状況で、今年はほとんど休むことなく終わっていきそうだが、実に充実した年だったと言えるよう、最後の締めくくりをしていきたいと思っている。

専門学校で試飲会に誘われる
 学び舎に先生集い新酒飲む
 里の道青空映える柿三つ
                                                      一葦